矯正後の後戻りが心配!リテーナーの種類と後戻り防止法を徹底解説

過去に歯列矯正の治療を受けたみなさん、歯並びは綺麗なまま維持できていますか?
矯正した直後は綺麗だったのに段々位置が戻ってきている、という方も多いのではないでしょうか。実は矯正後はしっかり『保定期間』を設けないと矯正の効果は半減してしまいます。
今回は歯並びが戻ってしまう主な原因と、保定装置(リテーナー)の種類別のメリット・デメリットをまとめています。現在矯正治療中の方にも役立つ情報ですので是非参考にしてください。

矯正治療後の後戻りとは?

「後戻り」とは、矯正した歯列が、元の歯列に戻ってしまう現象のことです。
矯正方法にはブラケット矯正、マウスピース矯正、裏側矯正、インプラント矯正などいくつかの種類がありますが、いずれの矯正方法でも、程度の差はあれ後戻りが必ず起こります。矯正器具を外した直後は骨が安定しておらず、バランスを崩しやすいためです。

後戻りを起こす4つの原因

後戻りには必ず原因があります。すでに後戻りが始まっている、という方はどの原因に心当たりがあるかチェックしてみましょう。

不十分な保定

保定は最短でも半年~1年は続ける必要があります。この期間は食事の時以外は一日中リテーナーをつけておき、1年が過ぎたら徐々に装着時間を短縮していくと、という方法が一般的です。しかし、矯正器具が外れリテーナーに切り替わると、ついつい自分で外す癖がついてしまい、その結果保定が不十分になり後戻りしてしまうケースが多いようです。

不十分な矯正治療

抜歯をせずに無理にあごを広げて矯正した場合、後戻りが起きやすくなります。子供はあごが成長途中なのであまり負担がかかりませんが、大人はあごの形が完成しているので、元に戻ろうとすると力が強く働いて後戻りにつながります。矯正では歯を並べるスペースをしっかり確保することが重要です。

親知らずが生えてくる

親知らずは歯列の一番奥に、最後に生えてくる歯です。他の歯が生えそろってから生えてくるため十分なスペースがなく、特にあごの小さい現代人では真っ直ぐ綺麗に生えることは稀です。半分埋まったままだったり、斜めに生えてきたりするケースも多く、親知らずが生えてこようとする力に押されて歯並びが崩れてしまいます。

態癖

態癖とは、日常生活で人が無意識に行う様々な習癖のことです。歯並びや、矯正の後戻りに関係する態癖としては、頬杖をつく、横向き・うつ伏せで寝る、唇を巻き込む、舌で歯を押す、などがあります。どれも何気なくやっていて、あまり歯に影響があるようには思えませんが、実はこれらの態癖の力は矯正器具の力の数倍だと言われています。毎日少しずつでもこのような動作を続けていると歯は簡単に動いてしまいます。

リテーナーの種類

後戻りを防ぐためにはリテーナーの装着が不可欠です。ここでは3つのタイプのリテーナーをご紹介します。それぞれ、審美的な満足度や、喋りやすさ、洗浄のしやすさなどに違いがありますので、かかりつけの歯科医院で相談して選んでください。

ベックタイプリテーナー

一般的に最も使用されているリテーナーです。歯列の表面を針金で固定し、見えない上顎部分にはプラスチック製のプレートを設置します。

メリット

最大のメリットは自分で着脱できるという点です。食事の時や、大事な写真を撮る時などには外して、またすぐに自分でつ着けることができます。噛む面を覆わない形状ですので、細かな噛み合わせまで整えられます。歯茎に当たる部分は広い面になっているので、歯ブラシで簡単に磨けます。

デメリット

正しく着脱しないと、針金が歪んで変形してしまうことがあります。また、構造的に上顎を覆っているため、慣れるまでは発音しにくいこともあります。口を開けると針金が目立ちますが、金属ブラケットで矯正していた方であれば審美的には大きく変わりません。

マウスピース

クリアリーテーナーとも呼ばれるマウスピースタイプは、透明な樹脂でできています。歯茎と歯全体に被せるように装着して治療を行います。

メリット

歯全体を覆うため、保持力が高いのが特徴です。また、透明で目立たないため周囲に気づかれにくいです。ベックタイプに比べると発音もしやすいため、職業柄喋る機会が多いという方にはおすすめです。こちらも取り外しが可能ですのでしっかり歯磨きができ、口内の清潔を保てます。

デメリット

針金を使用したリテーナーに比べ強度が低いため、噛み合わせの安定にはあまり向きません。素材の特性上菌が増加しやすいのですが、入れ歯洗浄剤等を使って洗浄できるので担当の歯科医の指導に従って定期的にクリーニングすれば問題ありません。

固定式(フィックスタイプリテーナー)

歯(特に動きやすい前歯)の裏に、約0.5mmの細いワイヤーを通して接着剤で固定する方法です。裏側矯正・インビザラインの治療を行った方に用いられることが多いです。

メリット

他のリテーナーよりもつけ心地の違和感が少なく、周囲から口元を見られてもほとんど気づかれません。保定力が高く、ワイヤーがついている限りは戻りませんので、きちんと矯正治療の成果を残したい方は検討するとよいでしょう。

デメリット

ワイヤーの接着面に菌が溜まりやすいのですが、歯の裏側であるため歯ブラシで磨きにくく、虫歯のリスクが高まります。また、フロスを通すことができないので定期的に歯石取りなどのメンテナンスが必要です。気づかないうちに部分的に外れてしまうこともあるので注意してください。

リテーナーの費用

リテーナー本体の料金としては、3~5万円程度です。定期的にチェックする経過観察料が、その都度3~5千円かかりますが、歯科医院によってはトータル金額をあらかじめ提示しているところもあります。これから矯正治療を受ける方は、事前にどこまでの治療が金額に含まれているのか確認するとよいでしょう。
また、事前によく確認せずに、リテーナーをつける段階になって「高いから他の歯医者に変えたい」と言っても、基本的には受け入れてもらえません。これは矯正治療後に後戻りした場合、責任の所在がどちらの歯科医院にあるのかが問題になってしまうからです。矯正治療は全額自己負担になるので、費用については治療前に書面でやり取りしておくとトラブルを避けられるでしょう。

後戻りすることを前提に治療しよう

歯列矯正には長い期間を要します。治療期間中は食事をするにも会話をするにも不便な思いをしているので、矯正器具が外れると「やっと終わった!」と気が抜けてしまう方が多いようです。しかし、リテーナーをつける期間は、矯正器具をつけていた期間と同じぐらいが理想的です。1年かけて歯を動かした場合は、1年リテーナーをつけて過ごすのがベストでしょう。
後戻りは必ず起こるものだと認識した上で、始めからそのつもりで治療にあたると、矯正器具が取れた時点であと半分という区切りがついてモチベーションも保てます。

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