歯の表側に取りつける矯正装置は目立ちやすいため、現在の歯科矯正では歯の裏側に取りつける裏側矯正が人気になっています。その裏側矯正の中でも特にメリットの多い方法が、ドイツ製の矯正装置・インコグニートを使用した矯正です。このページでは他の矯正方法と比較しながら、インコグニート矯正のメリット・デメリット、そして費用の目安を紹介します。
インコグニートのメリットとは?
そもそもインコグニートとは何?
インコグニートは、ドイツの歯科医師・ウィッヒマン博士によって開発された矯正装置です。歯の裏側に取りつけることと、CAD/CAMを使用したオーダーメイド作成であることが特徴となっています。ドイツで行われている裏側矯正のうちで、なんと60%を占めている人気の矯正方法です。ドイツ以外にも世界60ヵ国以上で使用されていて、様々なメリットがあるため、日本でも人気を集めています。それでは、どのようなメリットがあるのか詳しくみていきましょう。
インコグニートのメリット
外から見られることがない
インコグニートの最大のメリットは、目立たせずに矯正できることです。歯科矯正でもっともポピュラーなブラケット矯正(表側矯正)は、歯の表面に金属製の装置を取りつけるため、とても目立ちやすいというデメリットがあります。それに対して、インコグニートは歯の裏側に取りつけるため、目立つことがありません。
従来の裏側矯正より時間が短い
表側から締め付けるブラケット矯正と比べて、従来の裏側矯正は強制力が低いことが課題でした。さらに、矯正中に外れてしまったり、壊れてしまったりすることもあるため、矯正に必要な時間も延びがちになっていました。
しかし、インコグニートは従来の装置とは違い、丈夫で壊れにくく、外れにくいという特徴があります。さらに、歯型にあわせたオーダーメイドなので、歯にピッタリと装着でき、何度も細かな調整をする必要がありません。そのため、治療を効率的に進めることができ、治療期間の短縮することができます。
金属アレルギーの心配がない
従来の矯正装置は、ニッケルやコバルトを原料にしているため、まれに金属アレルギーが起きることがあります。それと比較して、インコグニートの原料は、さらに金属アレルギーが起きる可能性が少ないゴールド合金です。そのため、アレルギーの心配があって他の矯正方法を受けられなかった人でも受けられる可能性があります。
痛みや違和感が少ない
インコグニートは、痛みや違和感が少ないこともメリットです。裏側矯正は、歯の裏側に取りつけることが特徴ですが、従来の裏側矯正装置では厚みがあるため、違和感が大きいものでした。厚みがあった原因は、歯の表側に比べて裏側が複雑な形状をしていることです。
内向きにカーブした複雑な形状で、患者さんごとに歯の傾き方も違うため、既製品の装置ではピッタリと取りつけることが難しく、装置や接着剤の厚みが出やすくなっていました。それに対して、インコグニートは患者さんの歯型を3Dスキャナーで読み取り、コンピューターで作成するため、薄くピッタリと装着できる装置に仕上げることができます。
インコグニートにデメリットはあるの?
矯正方法はメリット・デメリットの比較が大切
歯の矯正方法は、様々な方法が考案されているため、メリットだけではなくデメリットも知り、他の方法と比較することが大切です。インコグニートのデメリットや、デメリットを押さえるためのポイントを紹介します。
インコグニートのデメリット
歯型の作成に時間がかかる
インコグニートは日本ではなく、ドイツのメーカーで作成されています。さらに発注してからオーダーメイドで作成するため、実際に届いて装着するまでに時間がかかることがデメリットです。時期や歯の形状にもよりますが、おおよそ6週間前後は待たなければなりません。
また、頑丈で壊れにくくできてはいますが、もしも不具合があった場合、ドイツで調整しなおすか、再作成しなければなりません。そのため、インコグニートを使用するときは、不具合が起こらないように事前の検査や、矯正中の定期治療をしっかり行うクリニックを選びましょう。
歯ブラシで磨きにくい
歯に取りつけるため、歯ブラシで磨きにくいこともデメリットです。ただし、このデメリットはブラケット矯正や他の裏側矯正にも共通しています。この3つの方法の中では、むしろ虫歯になりにくいほうで、虫歯になるリスクは表側矯正の約1/5とされています。
しかし、普通の状態に比べれば、磨きにくく虫歯になりやすいことは確かです。そのため、矯正中は普段よりも丁寧に歯を磨くようにしましょう。
慣れるまで発音がしにくい
次に裏側矯正全体のデメリットとして、装置を舌側に取りつけるため、慣れるまではサ行などの発音に支障が出やすいことがあげられます。しかし、ずっと支障が出るわけではなく、2週間から1ヵ月以内には慣れることが一般的です。さらに、インコグニートは他の裏側矯正装置に比べれば違和感が少ないため、慣れるまでの時間も短いという特徴があります。
他の矯正方法と比べて費用がかかる
インコグニートはオーダーメイドで作成しているため、他の矯正方法に比べて費用が高めなこともデメリットです。そのため、他の矯正方法とメリット・デメリットをよく比較してから、選ばなければいけません。次はインコグニートの費用や、矯正期間の目安を紹介します。
インコグニートにかかる費用や時間は?
インコグニートの治療費
インコグニート矯正にかかる費用はクリニックによって違いますが、おおよそブラケット矯正の1.2倍~1.5倍が相場とされています。ブラケット矯正の費用は、平均で60万~100万円ほどであるため、70万~150万円ほどが相場です。ただし、あくまで平均であるため、実際にはもうすこし安かったり、高かったりすることもあります。ブラケット矯正と比べれば高額に思えますが、メリットの多さや、他の矯正方法にもデメリットがあることも考えなければなりません。次は矯正期間を比較してみましょう。
インコグニートの矯正期間
ブラケット矯正で歯列全体を動かす場合、おおよそ2年~3年ほどかかります。そして、従来の裏側矯正は、ブラケット矯正より半年から1年長くかかり、2年半から4年ほどです。インコグニートの場合、従来の裏側矯正よりも治療期間が短いため、表側矯正とあまり変わりません。ただし、こちらも費用と同様に、症状によって前後することがあります。
他の治療方法との比較表
ブラケット矯正(表側矯正) | 従来の裏側矯正 | インコグニート | |
見た目 | 表側なので目立つ | 目立たない | 目立たない |
違和感・痛み | 痛みが強い | 違和感が強い | 違和感・痛みが少ない |
アレルギー | まれにあり | まれにあり | 少ない |
矯正期間 | 短い | 長い | 比較的に短い |
インコグニートで目立たせずに歯並びを治そう
インコグニートは目立たない、違和感が少ない、矯正期間も短いといったように、多くのメリットを持つ矯正方法です。しかし、その分だけ、費用が高額になりがちなことや、準備に時間がかかることがデメリットです。そのため、クリニックで医師とよく相談してから治療計画を立て、万全の状態で矯正を始めましょう。
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歯の矯正は慎重に考えているという方も多いでしょう。
歯列矯正に失敗しないためにも、ぜひ基礎知識については知っておくことをおすすめします。